B2でしのぎを削った3クラブとの再戦
クラブ関係者とA-xxが心から待ち望んだB1での挑戦は、2025年10月4日に千葉ポートアリーナで行われた長崎ヴェルカとのホームゲームで幕を開けた。クラブ創設からの2年間にB3とB2で激闘を繰り広げた宿命のライバルとの初戦を、アルティーリ千葉は97-94の勝利で飾る。
92-92の同点で残り1分を切った後、前田怜緒が3本のフリースローを沈め、最後は熊谷尚也のパスを受けたトレイ・ポーターが速攻から華を添えるダンクを叩き込んでの快勝だった。開幕戦でのアルティーリ千葉は、これで創設初シーズンから負けなしの5連勝。アンドレ・レマニスHCは「プレシーズンに充実した準備ができたことが大きかった」と笑顔で語った。
開幕節のハーフタイムには、2022-23シーズンからホームゲームの開始前に流れている「Luv(sic) Part 2 feat.Shing02」を、Shing02とSPIN MASTER A-1がライブで披露した。また翌日は敗戦となったものの、過去最高を更新する6,060人の来場を記録。新たな幕開けを強く印象付ける週末となった。
翌週アウェーで戦った越谷アルファーズ戦では、B1での初スウィープを達成。続く週末の富山グラウジーズとのGAME1には敗れたが、GAME2は前田怜緒の決勝ドライビングフローターで86-84としてリベンジ。開幕からの4節は4勝3敗と勝ち越すことができた。
アシュリーの負傷離脱と中盤戦の苦闘
好スタートを切ったアルティーリ千葉だったが、第5節以降はB1の洗礼とも言える6連敗を喫してしまう。ただ、厳しい戦況の中でも最高峰で戦えるポテンシャルは示していた。10月29日のアルバルク東京戦はオーバータイムの末、94-98の黒星。翌節アウェーでの島根スサノオマジック戦は66-69、62-68と大接戦の連続。このまま進めば必ず活路を見出せる——そんな希望を感じさせる熱闘が続いた。
ところが11月16日のシーホース三河戦で、決定的なアクシデントに見舞われる。チームの要であるブランドン・アシュリーが4Q終盤に負傷離脱。後日発表された診断は「右膝前十字靭帯断裂および外側半月板損傷」で、アシュリーは以降前線から離れることとなった。
試練に見舞われたアルティーリ千葉は、接戦を勝ちきれない悔しい流れ。それでも11月9日・10日には川崎ブレイブサンダース相手に今季2度目のスウィープを達成するなど奮闘を続けた。杉本慶は「(B1でのプレーは)それはもう楽しいです!」と新たな挑戦を前にポジティブなコメントを残している。
中盤戦では、短期契約で加入したオルフェミ・オルジョビがアシュリー欠場の穴を埋めた。また、オルジョビに代わって1月下旬に加わったマリアル・シャヨクも、デビューを果たした1月24日の佐賀バルーナーズ戦で3Pショット6本を全て成功させ、22得点を挙げるなど活躍が光った。
hometown classixx
シーズン後半戦ではクラブとして新たな試みにも挑戦した。琉球ゴールデンキングスと広島ドラゴンフライズを迎えてのホームゲームを、「Hometown Classixx」と題した特別なイベントとして開催したのだ。どちらも直近3年間でB1リーグ王座を獲得した強豪。平均で5,400人を超える大観衆を集めた両チームとの対戦で、アルティーリ千葉は好ゲームを披露した。
2月14日の琉球戦GAME1は激闘の末に敗れたものの、1点リードの4Q残り1秒に岸本隆一の逆転3Pショットで85-87という劇的な結末。3月14日の広島戦GAME1では、大崎裕太が3Pショットを7本決めるなど23得点(どちらもキャリアハイ)の活躍でチームを87-81の勝利に導いた。この日は渡邉伶音も9得点。翌日のGAME2では長谷川智也がシーズンハイの15得点を挙げ、ベテランと若手の活躍がかみ合ったアルティーリ千葉は、この日までの直近5試合を3勝2敗と勝ち越すなど士気も高まっていた。
初の「Hometown Classixx」は1勝にとどまったとはいえ、各日とも先着来場者5,000人に配布された「GLOW STICK」が煌びやかに輝き、クラブのアンセムと縁深いロックバンド「HUSKING BEE」のライブ、千葉を拠点とするダンスクルー「kirameki☆glitter」のパフォーマンスがハーフタイムに華を添えるなど、普段とは異なる雰囲気の演出も好評だった。
Crosstown rivalry
3月28日・29日には、多くのバスケットボールファンが待ち望んだ千葉ジェッツとの初対戦が実現した。「Crosstown Rivalry」と銘打った両日は、千葉ポートアリーナに大勢の千葉ジェッツブースターも来場。A-xxとの熱烈な応援合戦が千葉のバスケ熱の高まりを実感させた。
日本代表の中心選手を擁した千葉ジェッツは伝統的強豪の1つだが、アルティーリ千葉はこの時点まで3P成功率(35.1%)、フィールドゴール成功率(46.3%)、平均オフェンスリバウンド(12.9本)、平均アシスト(22.1本)などで上回り、個人成績でもデレク・パードンが平均9.3リバウンドでリーグ4位、ポーターが平均1.0ブロックで同6位、黒川虎徹もフリースロー成功率86.8%が同4位など存在感を示していた。初のB1で進境著しい黒川は、同時点で平均得点(10.3点)と3P成功率(37.6%)でマッチアップ相手の富樫勇樹をしのぐ数値も残していた。
初戦は「Crosstown Rivalry」ならではの雰囲気に吞まれたか、アルティーリ千葉は序盤に大きなビハインドを背負い、最後まで挽回できず71-88で敗れた。しかしGAME2は22得点を挙げたシャヨクの活躍などで食らいつく。
A-xxの大声援が響く中、最後はエヴァンスルークがブザービーターとなる逆転ミドルジャンプショットをねじ込み、70-69の歴史的勝利。最後まで粘って作ったセカンドチャンス、日々の努力からなるラストショット、割れんばかりの歓喜。クラブとして大きな一歩を記した1日だった。
大塚裕土キャプテンの引退
今シーズンはクラブにとって様々な意味合いで大きな転機だったが、中でも創設時からキャプテンを務めた大塚裕土の引退は、偉大なる歴史の始まりから次の時代への移り変わりを鮮明に映し出す出来事だった。
この5年間で、バスケットボールを取り巻く千葉市周辺の環境は大きく変わった。かつては入場者数2,000名程度だった千葉ポートアリーナが、B2時代に東地区3連覇とB1昇格、そしてリーグ制覇を達成する過程で、平均5,000人超を記録するようになった。街中ではブラックネイビーのシャツを着て体育館や公園で練習に励む子どもたちが増え続けている。その変化のきっかけが、大塚のリーダーシップとアルティーリ千葉のビジョンに対するコミットメントだった。
直近2シーズンにB2で3P王に輝いた後、今シーズンの大塚は出場機会も限られ安定した活躍ができず、チームも思うように勝てなかった。しかし、「キャプテンに勝利を」という思いはチームの力にもなった。「裕土さんとの時間を大事に、勝って終わろう」——木田貴明らが語ったそんな思いに大塚は燃えた。
最終節の千葉ジェッツ戦GAME1では3P成功数のキャリアハイを更新する7本を沈めた。最終盤の8試合では65本中30本を決め(成功率46.2%)、3つの勝利をもぎ取る力となり有終の美を飾った。
ALTIRI CHIBA