カイ・ソット選手

「カイ・ソット——父にあこがれ選んだ道を、父として歩むブラックネイビーの戦士」

B.PREMIER 2026-27シーズンの最長身選手、カイ・ソット。今季がプロキャリア6年目のビッグマンで、2023年2月の初来日以前に豪NBLのアデレード・サーティシクサーズでもプレーしており、NBAのサマーリーグやフィリピン代表としてプレーしたFIBAワールドカップ(いずれも2023年)など豊富な経験を持つ。一方で、開幕時点でもまだ24歳という若手スターだ。

ソットは今季の所属先にアルティーリ千葉を選んだ。クラブとして、2022-23シーズンのコービー・パラス(ソット自身の良き友人でもある)に続く歴代2人目のフィリピン人選手、そしてアジア枠での獲得という意味ではリュウ・チュアンシン(2023-24シーズン所属)に続く3人目になる。

ソットには、ペリメーターからのドライブや3Pで得点を稼いだパラスと、Bリーグ歴代最長身だったリュウ(226cm)を混ぜ合わせたような特徴がある。得意技は必ずしもポストアップやインサイドのパワープレーだけではない。「フローター、スカイフック、ミッドレンジでのジャンプショット。そういうプレーをする機会が試合でも多くなりますからね」——尋ねればこんな答えが返ってくる。

父 アーヴィンがフィリピンでプロ選手として活躍していたことから、ソットは小さい頃からバスケットボールに親しみ、大好きだったという。「(父親のプレーを)本当によく見ていました。そのうち自分でプレーするようになるとやはり楽しくて、好きになりました」。今バスケットボールをやっている最大の理由は父親の存在だとソットは明言する。

アルティーリ千葉で背番号#30を選んだのも、「父が現役時代に付けていた番号だから」。国内のプロリーグでも、フィリピン代表として立った国際の舞台でも活躍した父親のキャリアをたたえ、敬意を示すためだという。

バスケットボールに関して実力も情熱も持ち合わせていた父親の存在は、自然な形でソットの成長を促した。「父の影響でプロの環境にもバスケットボールの世界にも早いうちからなじみがあったので、私はほかの子たちよりも早くいろんなことを学べたと思います」。そして身長という要素が、成長の過程を加速させることとなる。

「学校ではいつも一番背の高い子でしたが、特に11~15歳の頃にグンと伸びましたね。11歳のとき、すでに183cmありました。それが12歳で190cmを超え、13歳では201cm、14歳で206cm、15歳で211cm、16歳で218cmという具合です」

その信じられない大きさから、当時仲間からつけられたニックネームは“カイジュウ”。もちろん日本語の「怪獣」に由来するニックネームだ。ほかにも“マニラのゴジラ”、“モンスター”などと形容されたこともあるが、ソット自身はこの“カイジュウ”を「お気に入りのニックネームです」と話す。

これだけ急激に大きくなったソットは、試合に出るとなればいつもセンターのポジションだった。しかし、自らもセンターだった父 アーヴィンは、その時点でソットの将来を見据え、プレーヤーとしての幅を広げる指導を施した。

「父とスキルワークをするときは、あらゆることを教えてくれました。ポストアップだけではなくボールハンドリングも、シューティングも、ドリブルからのショットもやりました。そのおかげで今の私は、(パワープレー以上に)自分を生かしチームメイトを楽にさせられるようなプレーを志向するようになっています」。

成長期の様々な取り組みが、身体を張った貢献に加えて、オープンスペースを見つけてタイミングよくカットしたり、アウトレットパスを最も効果的な位置にいるガードにいち早く渡したりといったIQの高さにつながっている。アルティーリ千葉で出場した最初の4試合でソットが記録した12.0得点、フィールドゴール成功率67.7%、11.3リバウンド、4.8アシストという数字も、高さだけではなく多彩さを印象づける。

NBL時代に、アンドレ・レマニスHCのもとでアシスタントを務めたC.J.ブルートンHCとプレーしていたことから、フローオフェンスに対する相性にも心配はないというだけあり、即座に頼れる存在として機能した。

今季の悩みはコンディションで、自分の中で改善したいところは何かと尋ねると、「正直言って、良くしたいところと言ったら身体ですね」と答える。開幕時は全快時の7割程度で、「とにかく身体を良くしたいです。ベストな状態に持っていくことができればとても貢献できると思っているので、ケアを最優先にしています」と言うように、今はコンディションの復調に全力を注いでいる。

もどかしい胸の内は、コーチ陣とチームメイト、そしてA-xxと同じだ。「A-xxは、私がプレーしたときにものすごく喜んでくれました。皆さん気合い十分で、チームに誇りを持ってくれているなと感じました」という言葉から、降り注ぐ声援がソットの力になっていることが感じられた。

「特に子どもたちに喜んでもらえるのがうれしくて!」と心を弾ませるソットは、実はこの夏、第一子を迎えたばかり。“カイジュウ”の勇姿を見せたい人が一人増えた今、ソットはコートに立つ日も立てない日も、目の前の課題と真摯に向き合い全力で戦っている。