PARTNER STORY 2023-24
行政やファンと力を合わせ、弊社ならではの愛情表現でアルティーリ千葉を全力応援
日本国憲法第二十五条には、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と記されている。日常あまり意識しないかもしれないが、様々な形で人が働くことにより、実際に一人一人がこの権利を享受している。
稲毛海浜公園そばにある千葉市地方卸売市場を拠点に、青果物の卸売業を営む千葉青果株式会社は、食の安定供給を通じてその権利を人々に行き渡らせる役割を担う企業だ。実は、2022年の夏からアルティーリ千葉のパートナーに名を連ねている。
アルティーリ千葉とのパートナーシップは、昨年6月に新たに就任した渡邉英大代表取締役社長からの提案が賛成多数で可決されたところからスタートした。「最初は『アルティーリ千葉ってそもそも何?』という状態で、社内ではクラブがあることすら知らない人が多かったと思います」。こう話すのは専務執行役員を務める小倉俊博だ。「でも、千葉市がパートナーというのがすごく大事なキーワードでした。行政も乗り出しているのにどうしてうちができないのか? そこに大義があったんですね」
パートナーの話がまとまってから本腰を入れてアルティーリ千葉のリサーチを始めた小倉は、新規参入クラブが5年間でB1制覇を目指す「GREAT HISTORY」の構想の真っただ中にあることを知る。「なかなか勢いがあるじゃないか。よし、どんなクラブなのか会場で見てみようという流れで、今ではのめりこんじゃったという状態です。社内でも今はかなり大応援団に膨らんでおり、社長からのパートナーシップ提案があったおかげと感謝しています。」。小倉は笑顔で話す。
真夏のとある昼下がりに実施した取材には、小倉のほかに常務取締役の吉田和広、執行役員管理部長の齋藤一民、そして管理部に所属する大のアルティーリ千葉ファンという鈴木佐和、本田多鶴の4人が同席した。冒頭「皆さんファンということで間違いないでしょうか?」と尋ねると、「間違いない、間違いない!」「一番熱いところです」と一同の明るい笑い声が応接室に響く。気づけばその場は“アルティーリ千葉愛”を語る座談会のような雰囲気。約1時間、それぞれの思いやエピソードを聞くと、自然とパートナー締結の意味合いが理解できた。
人々の平穏な日々を支える地域密着の青果卸売業、千葉青果
企業としての千葉青果には、千葉市を中心とした供給圏に暮らす130万人に上る人々に、野菜や果物を毎日途切れなく供給するという重要なミッションがある。齋藤は「営利目的の民間企業ではありますが、生産者と買出人の両方が納得いく値段をつけて、ある程度の量を安定供給し続けなければならないので、公共性の高い会社です」と事業の特徴を説明してくれた。職員は部門ごとに異なるシフトで業務にあたるが、営業部門の就業時間は午前6時30分から午後2時30分までと、市場の一般的なイメージにたがわず朝が早い。吉田によれば、「朝が早いのは基本。最近は休憩をとって夕方からスーパーの受注対応をするシフトもあります」とのこと。二人の話から、市場の人々が早朝から夜までかわるがわる汗を流してくれることで、「健康で文化的な生活」が守られていることにあらためて気づかされる。
市場の仕事は一般的な企業の勤務形態と違い、独特のチームワークや生活を律する姿勢も求められる。そのため昨今では働き手を見つけるのも簡単ではないという。しかし「会社説明会で学生にアルティーリ千葉の話をするとウケがいい(齋藤談)」とのことで、パートナーシップが採用面にもプラスに働く可能性も感じている。昨シーズン実施した「ちば夢チャレンジ☆パスポートプロジェクト(千葉県内の子どもたちを無償でホームゲームに招待する企画)」への協賛などを通じて、地域密着のプロチームを応援していることが徐々に知られるようになってきているのだ。「最近では『千葉青果は青果物の取り扱いだけじゃなく地域を盛り上げる活動もされているんですね』と評価してくださる方もいらっしゃいます」と小倉は話す。「間接的ではあっても子どもたちをサポートができたことに意味はあった」と感じており、このプロジェクトへの協賛は2023-24シーズンも継続予定だ。
こうしたパートナーシップの枠組みとは別に、千葉青果はアルティーリ千葉に対する特別な愛情表現を行っている。新鮮なフルーツをホームゲームの日に千葉ポートアリーナに届けているのだ。「毎日入ってくる新鮮な青果物を扱うという弊社の強みを生かして、選手たちに喜んでもらえたらと。栄養がつけられるし、食として楽しんでいただけますから(小倉談)」。最近では管理栄養学的な観点から一歩踏み込んだ工夫も凝らしながら、旬を感じてもらえるような品目選びをしているそうだ。吉田は「これからスポーツをする人たちだから、体を冷やす効果がある柿はまずいよねとか、バナナは疲労回復にいいから毎回持って行ってもいいんじゃないかみたいな話をして持参します」と教えてくれた。
アルティーリ千葉が昨シーズンホームで24勝6敗(B2トップタイ)の好成績を残していた陰に、こんな愛情表現があったことは、幅広いファン層までは知られていないかもしれない。しかしこれが選手たちには大好評。小倉は「地域に根差した企業として、千葉市をホームタウンとするクラブにできること。目立たないけども、我々としては良い地域貢献事業だと思っています。千葉青果の青果物卸売会社としてのステイタスを高めることにもつながりますしね」とその価値を強調した。
ホームゲーム当日は新鮮なフルーツで選手たちを元気づけ
クラブへの愛着を深めた昨シーズン、小倉は千葉ポートアリーナで行われたホームゲームには毎週のように足を運んだ。“箱推し”タイプの鈴木と大塚裕土推しの本田も、小倉に負けないほど応援に出かけたという(ちなみに小倉は小林大祐に惹かれているそうだ)。長崎ヴェルカとのプレーオフセミファイナルGAME3も、もちろん会場で見ていた。「アリーナ全体が一体となった盛り上がりは鳥肌ものでした。だから、負けたのは悔しかったですけど、来シーズンこそやってほしいという応援の気持ちが強くなりました」と小倉はあの日を振り返った。
取材の終盤には、「今シーズンの期待はもちろんB1昇格とB2優勝!」と一同が口々に話し、この日何度目かの笑顔の波が押し寄せた。頼もしい援軍は、B.LEAGUE PREMIER(新B1)参入に必要な平均4,000人以上の入場者数基準を今シーズンからクリアしようという目標も当然知っている。「これはクラブと行政だけではなく、応援するファンや我々パートナーも一体にならないと難しい。現地観戦の魅力は捨てがたいものがありますから、みんなで見に行って盛り上がりましょうよ!」。小倉はこう話してファンと思いを一つにしている。
この分だと今シーズンは、フルーツも相当豪華になりそうだ。最後にそんな話を振ると、「優勝したら食べ放題ですよ!」と小倉の明るい声が返ってきた。千葉青果の「アルティーリ千葉を語る会」に、またしても明るい笑顔の波が訪れたのは言うまでもない。