PARTNER STORY 2023-24
Ubuntuの精神で、ともに上がっていきたい
宿命のライバル長崎ヴェルカを千葉ポートアリーナに迎え、勝った方がB1昇格達成という決戦となった2022-23シーズンのプレーオフセミファイナルを、アルティーリ千葉のファンならば、決して忘れることはないだろう。レオ・ライオンズを負傷離脱の悲劇が襲ったGAME1。クラブ史上初めてスタンディングオベーションが沸き起こる中、序盤から一気に突き放して快勝を収めたGAME2。全員が死力を尽くして40分間戦い続けたGAME3。あの3試合は、ブラックネイビーで観客席を染めた延べ11,607人に上るファンの力も含め、クラブカルチャーであるUbuntu(ウブントゥ: アフリカの哲学に由来し、『あなたがいるから私が成功できる』という意味合い)の精神を体現していた。
アルティーリ千葉のパートナーである株式会社アイレップをファンの皆さんに紹介するには、何よりも先に、あのシリーズでメインの協賛社として会場を盛り上げた企業であることから語るのが早いだろう。あのシリーズで配布されたハリセンにも「ROAD TO B1」というキャッチフレーズとともにその名が記されていた。ハーフタイムのTシャツバズーカや試合終了後のMVP表彰のバックアップもアイレップだ。
事業としては、デジタルマーケティング支援を中心とし、そこに必要なソリューションの提案、クリエイティブ制作やDX(デジタルテクノロジーの応用によるビジネスモデルの変革・改善)関連のコンサルティングなどが柱。代表取締役社長CEOを務める小坂洋人によれば、実はこの事業ドメインにおいて優位性を保ち発展していく上で、Ubuntuのカルチャーに通じる精神が必要になるのだという。昨年の11月にパートナーシップに参画した大きな理由もそれだった。
「アルティーリ千葉のUbuntuの精神に非常に共感できました。昨年、創立25周年のタイミングでCI(コーポレート・アイデンティティ)等を変更したのですが、パートナー、クライアント企業に対しても熱い想いを持ってやっていこうという気持ちで事業に取り組む上で、チームや選手の熱い想いに通じるものがありました」と小坂は語る。「アルティーリ千葉の信念、ファンが発散するチーム愛と個々の選手を応援する熱い想いは、アイレップが大切にしている『DO BETTER, BE THE BEST』『挑戦を止めない。』『愛のある人であれ。』というスローガンや企業カルチャーに重なるんです」
インターネット広告業界黎明期からのフロントランナー
インターネットが徐々に人々の暮らしに浸透し始めた1990年代後半に創業したアイレップは、日本のデジタルマーケティング業界におけるフロントランナーの一つだ。小坂自身の入社は2002年。10人程度のスタッフで試行錯誤を繰り返し、何も約束されていない代わりに無限の可能性があったこの業界に夢を見た。「クライアント企業にもメディアにも出会えるデジタルマーケティングの仕事は、通常の企業よりも二倍の速度で成長できると思いました」と小坂は当時の情熱を振り返る。
しばしばWEB1.0と称される1990年代のネット広告黎明期も、WEB2.0と呼ばれ強大なマーケットプレーヤーの台頭とともに顧客のニーズがより相互インタラクティブな方向に変貌している現代も、肌で感じながら生きてきた。広告運用における効率化で特に先進的であり続けてきた社内には知の蓄積があり、業界きってのギーク(その道の専門家)が活躍している。そんなアイレップは、昨今論じられているWEB3.0という時代概念の中でも、さらなる発展を期待される存在だ。
取締役を務める木野本朋哉によれば、注力しているのはクリエイティブ分野だ。「動画やバナーなどの広告形態は進化速度が速く、運用も媒体も自動化・最適化が進んでどこの会社も同じようにハイレベル。そこで差別化を図るために、広告のクリエイティブに力を入れているんです」
広告効果測定には、AIや機械の力を使って大量のバリエーションを試す必要がある。一方で、あるユーザーの行動に影響を及ぼすような、心に響くキラーコピーやデザインには人の感性が欠かせない。アイレップは、ある意味でいわゆる「両利きの経営」に通じる考え方を適用してこの二つをうまくクリエイティブワークに落とし込み、社内のギークたちの力を生かしているのだ。「生活者の琴線に触れるコピー・デザインを突き詰める。そのために機械にはできない感性を大事にしていることは、アイレップの強みです」と木野本は頼もしげに語る。
社内で急速に伝播したアルティーリ千葉熱
デジタルマーケティングの世界で長年の歴史を築いてきたアイレップが、最も生身の人間らしさがぶつかり合うスポーツの世界で、生まれたばかりのアルティーリ千葉と結ばれたことにより、どんなことが起きてくるのだろうか。広報・マーケティンググループのグループリーダーを務める柳沢ゆかりは、「アイレップとして、Bリーグへの協賛は初めてではなかったのですが、広報の立場で関わった今回は、そのときにはなかった盛り上がりを感じています」とその変化の感触を語る。しかもそれは、まず自分自身から始まったという。初めて試合を見たときに、すらりとした万能アスリートタイプのブランドン・アシュリーに“ひとめぼれ”。「かっこいいな!」という乙女心から、プレーオフまで10試合近くを会場で見るうちに試合の流れにも惹かれるようになり、ついにはワールドカップ観戦で沖縄に飛ぶほどのバスケットボールファンになってしまった。
柳沢個人がいきなり熱くなれたこともあってか、パートナーシップの好影響は社内でも急速に広まった。「新卒社員と先輩社員との交流機会として一緒に観戦に行く企画が生まれたり、バスケ好きの社員が集まって観戦に行ったり、バスケ観戦をきっかけに社員同士の会話の総量が増えたと感じます。こういう機会があったからこそ生まれた社員同士の繋がりもあって、『バスケ好きで集まって飲みましょう!』というような、これまでなかったコミュニティも広がっているんですよ」
小坂もこうした空気感の醸成を歓迎しており、「柳沢のようにバスケ好きになった社員もいるし、コロナ禍の学生時代を過ごしてきた新卒社員と一緒になって応援に出かけられて交流機会も持てたことなど、成果が多かった」と話している。ゆくゆくは本業の中で、取引先企業向けのアルティーリ千葉とのコラボレーション施策を検討していけるようなところまで、パートナーシップを発展させたい思いもある。
経営陣から現場スタッフまでが熱烈な応援体勢にあるアイレップの存在は、アルティーリ千葉の大きな力だ。「悲願のB1昇格に向けて、グループ会社も含めて観戦動員数1000人を目指して巻き込んでいけるといい」「周りの支援が120%の力を引き出すこともある。皆で一緒に次のステージに上がっていきたい」。3人のこんなメッセージは意気込みに満ちている。それはそのまま、アイレップ社内の上昇機運が加速していることの証しに違いない。