PARTNER STORY 2022

運命共同体として伴走し、Sports Techで共に成長していく

――株式会社ユーフォリア代表取締役Co-CEO 宮田 誠

歴史ある強豪チームには必ずと言って良いほど、長年培われてきた勝利の文化がある。この無形の価値がもたらす力は、生まれたばかりのチームがいくら有能なアスリートを集めたとしても対抗するのが難しい大きな脅威だ。アルティーリ千葉がB2、B1とステージを上げていけば、それだけこの脅威に立ち向かわなければならない回数が多くなる。

どうすればよいのか? その答えをアルティーリ千葉はテクノロジーに求め、パートナーとして支援に名乗りを上げた株式会社ユーフォリアとともに、有効な対抗策の検討と遂行に取り組んでいる。

株式会社ユーフォリアは71競技、1,700チーム以上のユーザーを抱えるSports Tech Companyだ。Bリーグの全クラブに何らかの関わりを持ち、バスケットボール界における勝利の文化がどんなものかをフィジカルデータなどのテクノロジー面からは熟知している会社と言っていいだろう。それだけでなく、プロクラブとして1シーズンを過ごす中で、オーナーからフロント、現場それぞれの役割で直面する苦労がどんなものかもわかっている。「アルティーリ千葉の場合、それがゼロからの立ち上げ。しかもフロントの方々は業界未経験者がほとんど。めちゃくちゃチャレンジングだと思っていました」と同社の代表取締役Co-CEOを務める宮田氏は語る。

アルティーリ千葉が新規参入チームとして強豪チームに挑戦していくにあたり、活路をテクノロジーに見出そうとしていたこと、「テクノロジーを活用してバスケットボールの可能性を広げる」という考えを持っていたことに、宮田氏は強く共感し、パートナーとなることを決めた。「新規参入して魅力的なプレースタイルで駆け上っていくというアルティーリ千葉は、Bリーグでも非常に色が強いチーム。そんなチームをデータやテクノロジーの観点から支援できればと思っています」

ユーフォリアの主軸プロダクトのコンディション管理ソフト「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」は、選手が毎朝体調をアプリに打ち込むことで、それをトレーナーやパフォーマンスディレクターとシェアできる。これまで感覚的なものとして捉えられてきたコンディションというつかみにくい要素、見えにくかったものを「見える化」して、戦略を立てるためのデータプラットフォームの役割を担う。それを、選手とスタッフが試合のある週末に向けてコンディションを作っていく判断の一助に活用してもらうのだ。

アルティーリ千葉とはテクノロジーを使って戦う運命共同体

ただし、クラブ誕生直後の2021-22シーズンは、チーム内のコミュニケーションに深くかかわることをあえて控えたという。様々な形でのサポートが考えられたのは事実だが、アルティーリ千葉にはデータ分析や活用に精通した有能なスタッフがそろっている。であれば、情報過多で混乱させてしまうようなことを極力避け、より優先順位の高いクラブ全体の運営にかかわる事項に注力できるように見守るべきだと考えたのだ。

レギュラーシーズンが終わった5月1日から、B2昇格決定戦が行われた5月28日までの期間もそうだった。「あそこの約1ヵ月はルーティンを壊さないことが基本です。あの試合に向かって特別なアナリティクスとか、何か僕ができることないかなという話は確かにしました。でも、いい流れで来ている中で邪魔をするのが一番良くないので、結局何も新しい提案はしませんでした。チームとしてはいろいろな判断が必要で大変だったと思いますが、僕らはとにかくルーティンを邪魔をしないように心がけていました」

テクノロジーのプロは見えることが多いだけに、得てして無用な手出しで現場の手を煩わせてしまう可能性があるという。昨シーズンはそこを見極めた対応に徹した。

ただし2022-23シーズンは、事情が違ってくるかもしれない。B2で戦う2シーズン目は試合数も増え、昨シーズンよりもインテンシティ(強度)の高い戦いになるからだ。その環境下で勝利を重ねてB1昇格を目指すチームに伴走するならば、昨シーズンとは違うサポートが必要にもなりそうだ。

現時点で考えているのは、ソフトウェアやアプリの提供に加えて、そこで得られるデータの解析などを人的な側面からサポートしていくことだという。「もちろんチームスタッフ内でできる範囲のことではあると思っています。ただ、彼らにとっての重要な判断のための武器(材料)を1つでも増やす意味でサポートしたいという思いですね」。デジタル人材不足で苦しんでいるチームもある中、勝つ可能性を1%でも上げるためにできることとして、自らの手を差し伸べていきたい。しかし、その取り組みも一歩ずつ。今はまだデータから価値を創出すべく、共に試行錯誤を繰り返している段階とのことだが、テクノロジーでチームが進化する未来はそう遠くない。

やみくもに頑張れと大声を出して選手を引っ張る時代は終わりを告げ、なぜ、何を、どれだけ、いつするべきかといった判断にテクノロジーを活用することで最高のパフォーマンスを引き出す時代がやってきた――そのメッセージを、アルティーリ千葉とのパートナーシップを通じて発信するのだ。「アルティーリ千葉の母体である株式会社アトラエと当社はまさしくテックカンパニーで、テクノロジーを使って戦う、いわば運命共同体です。それだけに、選手たちの大切な瞬間に、力を100%発揮できるよう、チームスタッフの皆さんと我々で試行錯誤を繰り返しながら、精一杯サポートをしていきたいと思っています」

勝者のカルチャーを育むためにデータという観点から貢献

アルティーリ千葉が創設時に掲げた「THE GREAT HISTORY BEGINS.(偉大なる歴史の始まり)」は、数年後に国内トップレベルの強豪チームとなり、そうあり続けられる歴史への第一歩ということ。望ましい姿になっているはずのそのチームには、当然勝者の文化と伝統が育まれている。現在のメンバーが未来永劫にチームに留まることはない中で、それが途中で失われないように。これはアルティーリ千葉にとって一つの大きなテーマだが、「その願いはユーフォリアのプロジェクト哲学でもあります」と宮田氏は語る。

そして、株式会社ユーフォリアは、新たなクラブが勝者のカルチャーを育むためにデータという観点からも貢献するインフラとなることに意義を感じている。「僕らもアルティーリ千葉と共にスタートから頑張って一緒に伴走していきますので、みんなで強くしていくんだ、成長していくんだという気持ちで一緒にやっていきましょう!」

最後に、ファンの皆様へのメッセージをとお願いすると、宮田氏は弾むような声でこう答えて取材を締めくくった。

宮田社長の昨シーズン印象に残った試合
第27節 長崎ヴェルカ戦 GAME1

B2昇格へ向けて首位を走る長崎ヴェルカとの長い接戦の末、僅差で競り勝ちました。ヴェルカは同じタイミングで参入した素晴らしいチームで、まさに切磋琢磨し合うライバルです。B2へ昇格する意気込みがぶつかり合い、チームとして積み上げてきたものが確実に感じられる試合でした!今シーズンは共に乗り越えていきましょう!

取材・文/柴田 健(月バス.COM