PARTNER STORY 2022

プロセスを大切にして結果を出す姿を子どもたちに見せてほしい

杉浦氏が代表取締役を務める株式会社TREE Studioは、子どもたちの笑顔があふれるスポーツ大会や修学旅行などで撮影された写真を所属チームや学校にオンラインで販売するシステムや、プリント配送サービスを提供している。それは何事もなく平穏で、そうしたイベントが日々行われる世の中であることが前提のビジネスだ。

2019年に始まったコロナ禍は、その土台を揺るがした。ウイルス感染拡大抑止策は3年を経た今もまだ社会に規制を強いている。2021年秋にB3に新規参入したアルティーリ千葉の公式戦も、初戦から入場者数制限が敷かれ、来場者にはマスクの着用と声を出さない応援が義務付けられた。一定以上の感染対策が可能なプロスポーツでもこうした対応を取らざるを得なかった環境で、アマチュアスポーツでは次々と大会が中止に追いやられた。

新たな仲間たちの歓迎会もできない。先輩たちに感謝を伝えるお別れ会も、引退試合もない。すると株式会社TREE Studioも売上半減という大打撃に見舞われることとなった。

2021年にアルティーリ千葉の立ち上げを知ったとき、杉浦氏は自らクラブに連絡を入れて、パートナーシップの話を聞くことにした。クラブ側としてみれば、願ってもないありがたいアプローチだ。コロナ禍の新チーム誕生にかかわることに、特別な意義を感じたからだ。

「うちの仕事は、子どもが楽しく明るい未来を思い描きながら過ごしていることと強くつながっているんです」と杉浦氏はその背景をこう語る。「子どもの楽しいときとか頑張っているときの写真が残れば親もうれしいし、子ども自身もそういう自分が綺麗な写真になって残るのはうれしいに違いありません。それは社会にとってもいいことなんだと思いますし、うちはそういう環境の恩恵を受けている会社です。であれば、その環境がもっともっと続くように、もっと広がるようにという意味で、こうしたパートナーシップをやっていきたいという思いです」

アルティーリ千葉のビジョンにも、そこで働く人々の人生にも惚れこみ、子どもたちが憧れられるクラブだと感じた。「ビジネス的なメリットにつながる期待もゼロではないんです。しかしそれ以前の問題として、子どもたちの健全育成を意識しています」。楽しいことが世の中に溢れて、子どもたちが自分の好きなことをやりながら将来を思い描くことができるなら、支援する価値があると信じている。

自らの原点を確認した頂上決戦の“冠試合”

2021-22シーズンが始まるとともに、コロナ禍のパートナーシップが始まった。集客を思うようにできないクラブ側の困難も感じていたことから、出費がかさむことを承知で「最初で最後かもしれない」という“冠試合”の開催も決断した。

結論としては、酒々井市の本社から近い印西市にある松山下公園総合体育館で1月15日・16日に行う予定だったこの試合(金沢武士団との2連戦)は、コロナ禍の影響で中止となってしまう。しかし双方にとって良い形を模索した結果、4月9日に千葉ポートアリーナで組まれていた長崎ヴェルカとの頂上決戦で、それを実現することとなった。

本来的には、千葉市よりも本社に近い印西で開催する冠試合でアルティーリ千葉を地域の子どもたちに認知してもらう方が、株式会社TREE Studioの趣旨には合っていたかもしれない。しかし、「コロナ禍で支援した記録として残るのが、昨シーズンのベストゲームともいえる一戦だったのはラッキー」と杉浦氏は語る。結果として、この支援により入場券が全席無料となったこの日の試合には3,009人ものファンが来場。力を得たアルティーリ千葉は93-89で接戦をものにしており、株式会社TREE Studioだけでなくファンも、アルティーリ千葉も最高の結果を得ることができた。杉浦氏は社員とともに会場でこの試合を見たことで、子どもたちの笑顔の大切さという原点を確認することもできた。

「子どもたちが憧れを持てるように」とユースチームを支援

その一戦を含め、昨シーズンのアルティーリ千葉は杉浦氏にとって応援のしがいがあるチームだった。主力の相次ぐ故障で苦しみながらB2昇格を実現したチームの戦いぶりは期待に応えるものだった。中でも個人的には、コート上のエナジーが落ちてきたかというときに投入されては果敢なアタックでチームに勢いをもたらした藤本巧太のプレーに魅了されたという。シーズンを通じて成長を見せた小柄なポイントガードは、子どもたちが憧れにしやすい存在でもあるかもしれない。

2022-23シーズンには、最速でのB1昇格という目標の達成をもちろん期待している。ただし、実は決して楽観視していない。「最速でB1へという目標に共感したのは間違いありません。それでも、できたはずのことが外的要因でできなくなることもありえます」。対戦相手のレベルが上がるのはもちろん、故障をはじめとした思わぬアクシデントが行く手を阻む可能性がないとは言えないことは、昨シーズンの教訓でもある。

だからこそ創設2シーズン目は、結果だけでなくプロセスに注目している。「自分たちの力を出し切って戦う姿を、応援する子どもたちに感じてもらえることが最大の期待です。やりきったよねということが伝わるプレーをしてくれて、それを見た子どもたちが自分でもプロを目指そうというふうに夢や希望を持ってくれるとしたら、結果がどうあれ堂々と受け入れられるに違いありません」。

逆に、仮に昇格できたとしても、自分たちを出し切れなかったらそのプロセスは高く評価できないと杉浦氏は話す。

最速で頂点に駆け上がるという目標の「最速」とは、あくまでも自分たちができることをやり切っていくプロセス上の「最速」だと解釈している。株式会社TREE Studioは、その最速を実現しようとする選手たちの、大好きなバスケットボールに全力で取り組み限界にチャレンジする姿が子どもたちに伝わるような支援を息長く続けていきたい考えだ。「最速を目指すということは、自分らしくと言いながらただ好き勝手にやっているのとは違います。自分のやりたいことをやるんだったらそこをとことんやってみようというメッセージが伝わるお手伝いができればいいなと思っています」

それもあり今シーズンは、2022年4月から設立されたユースチームの支援をスタートさせた。アルティーリ千葉が生まれてスクールができれば、子どもたちが夢を見られるだけでなく、プロになれなかったとしても競技経験を持つ人々が指導者としてキャリアを築ける可能性も出てくるだろう。多様な社会のあり方の手助けができるとすれば、パートナーシップの意義は大きい。

「子どもたちが憧れを持って、その憧れに近づく努力をできるように。その努力は最初に思ったような形で実を結ぶかはわかりませんが、必ず何かの形で実を結びます。憧れの姿を重ねてアルティーリ千葉の試合を見てもらえたらうれしいですね」

杉浦社長のイチ推しプレイヤー
#13 レオ・ライオンズ選手

ライオンズ選手はビッグマンでありながら、クレバーなプレーを持ち味とする選手で、昨シーズンこそ、怪我に苛まれ、出場機会には恵まれませんでしたが、今シーズンは間違いなく、彼が爆発するはずです!