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アルティーリ千葉

ALTIRI CHIBA

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 B3で44試合を戦ったクラブ創設初シーズンは、チームとしてB2昇格を果たしただけでなく個々のプレーヤーも称賛すべきハイレベルな成績を残した。例えば杉本 慶はアシスト王(平均6.21本)に輝き年間ベストファイブ入り。イバン・ラベネルも得点ランキング3位(平均22.29)で杉本とともに年間ベストファイブの栄誉を手にしている。

 ほかにもケビン・コッツァーがリバウンドで3位(平均12.28本)、小林大祐もフリースロー成功率で2位(86.73%)にランクイン。3P成功率では大塚裕土(41.3%)と岡田優介、(41.9%)がそろって頼もしい結果を出した。

 B2でのクラブ創設2シーズン目を迎えるにあたり、アルティーリ千葉は開幕前の9月にB1の滋賀レイクスと茨城ロボッツを相手にプレシーズンゲームをこなしている。この2試合はいずれも黒星だったが、長期離脱していたレオ・ライオンズも元気に戦列に復帰。そしてこの上位カテゴリーのチームに対するチャレンジが実を結び、アルティーリ千葉は開幕から好スタートを切る。

 B2の2022-23シーズンは、2022年10月1日・2日に開幕節を迎えた。アルティーリ千葉は青森ワッツとマエダアリーナでアウェーゲームを戦い、連勝で新たな舞台のスタートを飾っている。昇格後初の公式戦だったGAME1では、レオ・ライオンズの19得点を筆頭に5人が2桁得点を記録し、粘る青森を85-83でしのいだ。

 上位カテゴリーでの戦いは甘くはなく、翌週もアウェーで戦った山形ワイヴァンズとの第2節では、クラブとして初の公式戦連敗を喫した。しかしB2における初のホームゲームとなった第3節の福島ファイヤーボンズ戦以降10月中の5試合すべてに勝利し、10月を7勝2敗の好成績で乗り切る。

 10月15日に千葉ポートアリーナで行われた福島とのGAME1では、クラブ創設以来ホームでの新記録となる3,182人の来場者数を記録(この記録はシーズン中さらに更新されていく)。コロナ禍の制限下にもかかわらず大勢のファンからの熱烈な視線とクラップに背中を押される状況がチームを奮い立たせる。
11月5日に大網白里アリーナで山形戦GAME1に敗れてクラブ史上初の同一チーム相手の3連敗という悔しい出来事もあったが、翌日のGAME2以降年明け1月7日のアースフレンズ東京Zとのホームゲームまでは、クラブ新記録となる怒濤の14連勝を含む18勝2敗の快進撃で突っ走った。

 シーズン序盤から中盤にかけて好調を維持できた要因は、チームに浸透した”UBUNTU(ウブントゥ)”の精神であったかもしれない。例えば、アシストランキングで序盤戦からリーグ上位を維持している杉本は、10月16日の福島戦で11アシストを記録して勝利をつかんだ後、「僕の理想としては、出場選手全員が3アシストずつする方がよほど相手は止められません」とオフェンス面でボールをシェアすることの大切さを語っていた。
また、山形戦初勝利の一戦で流れを変える奮起のディフェンスを見せた藤本は「常に前から当たる意識が持てて良いプレーにつながりましたが、それはチーム全員のプレッシャーで相手が自分のプレーをできなくなったから」とディフェンス面での連係の高さを言葉にした。
アンドレ・レマニスHCの下、チームを信頼して期待される役割を担い、こなす、その努力をするという考えが個々のメンバーに浸透していることが、彼らの言葉からもわかる。

12月17日の西宮ストークスとの一戦でベテランシューターの岡田優介が利き腕を骨折する大ケガに見舞われながら12月中に勢いを保てた事実も、お互いの信頼の中で全力を勝利に向けられていた証だろう(岡田はその後、3月11日の熊本ヴォルターズ戦でこの骨折から復帰した)。

 中盤戦以降、一時的な苦戦を強いられた時期が2度あった。そのうちの一つは1月半ば、クラブ最長の4連敗を喫した流れだ。しかし、悪い流れが続いた後の1月29日に千葉ポートアリーナで行われた対青森GAME2は、ホーム来場者数記録を再度更新する3,187人のファンの前で、大塚裕土が第4Q残り1分を切ってから同点3Pショットと逆転ジャンパーを決めて88-86で逃げ切るという劇的な勝利となった。大塚はこの試合で3Pショット7本中6本成功を含む23得点。この試合では前半10点のビハインドを背負う厳しい展開を、キャプテンらしく数々のビッグショットで一変させた。

なお、1月にはレギュラーシーズンの公式戦関連と別に、その大塚がクラブから初となるBリーグオールスターゲーム出場を果たし11得点の活躍を見せるという話題もあった。
また、クラブとしては千葉市との間でホームタウン推進連携協定を締結。将来ホームとして使用する新アリーナを2028年に市内にオープンさせる構想も報じられている。

 4連敗を脱した翌週からは、アウェーでB3時代からのライバルである長崎ヴェルカに初の連勝。その後連勝は7まで伸びた。ところが2月最終週にアウェイで戦った越谷アルファーズとの連戦で手痛い連敗を喫してしまう。GAME2は60-101というこれまでになかった大敗。今シーズン2度目の大苦戦と言える黒星に、小林大祐は「40点差はない。屈辱」と悔しさを隠さなかった。

しかし3月に入ってからのアルティーリ千葉は、最終節前までの15試合が14勝1敗。通算成績を46勝12敗(勝率.793)とし、東地区優勝とB2全体の最高勝率確定まであと1勝という状況だ。前節の屈辱を跳ね返した3月4日の福島戦GAME1は、クラブ史上初のダブルオーバータイムを経ての110-107という価値ある勝利。
声出しの制限が緩和され、観客席からの声援も次第に大きくなってきた千葉ポートアリーナでの大激闘だったが、大塚は「負ける気がしないですね。自然に声が出るような状態に僕らが導ければ、プレーオフももっと盛り上がるでしょう」と笑顔で話した。

 クラブはこの終盤の快進撃のさなか、3月14日にB1ライセンス交付を受け、19日に千葉ポートアリーナで行われた佐賀バル-ナーズとのGAME2(82-80で勝利)では、3,282人のファンを会場に迎え三たびホーム来場者数の新記録を樹立している。
レマニスHCもこの日の勝利後、「我々は皆さんの前でプレーすることを楽しんでいますが、皆さんも楽しんでくれていることを願っています。このまま皆さんと一緒に走って行きたいと思っていますので、よろしくお願います」とファンへの感謝を言葉にしていた。

 4月も下旬となり、いよいよレギュラーシーズンはフィナーレを迎える。月初の熊本戦を終えた後、レマニスHCは終盤戦に向け以下のようなコメントを聞かせてくれている。

「3・4月とプレーオフ進出がかかったチームとの対戦が多かったことで、プレーオフに入っていきなり強度の高さに直面することを避けられ、準備期間としてとても良いタイミングでした。相手チームは勝ちに来ており、毎試合大切であることは選手も理解しています。だからこそ細かいことに集中して、シフトする、ボックスアウトする、スクリーンするなど、目の前のことに集中するのが一番大事。勝ち負けばかりにこだわると、いい結果を生むためのプロセスから頭が離れてしまうと思いますが、良いプロセスを踏めば望む結果は自ずとついてくると思います」

 千葉ポートアリーナでの最終節は、ここまで4試合を戦って2勝2敗の越谷アルファーズとの対戦。東地区優勝とB2最高勝率マジックの対象となる直接的ライバルであり、ファンの皆さんの大声援と熱烈なクラップの中で連勝を飾り、大敗の借りを返してB2最強を証明する絶好機にクラブは燃えている。